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SNSで魅せる地域の宝
西尾市が実現した3ヶ月で1万フォロワーの奇跡

愛知県西尾市のふるさと納税公式Instagramアカウントが、わずか3ヶ月でフォロワー1万人達成という驚異的な成果を上げています。独自性の高いコンテンツで、若年層を中心に新たなファン層を開拓。2024年10月に始動した「西尾市版ふるさと納税3.0」の取組と成果について、話を伺いました。

 

(左)長瀬 拓也、(右)浅田 敬史

 

西尾市 総合政策部 秘書政策課
長瀬 拓也

前職は地元の民間広告会社。2023年4月に転職し西尾市役所に入庁。

当初より秘書政策課に配属され、3年目を迎える。

 

西尾市 総合政策部 秘書政策課
浅田 敬史

入庁17年目。保険年金課(国民健康保険担当)、税務課(市民税担当)、財政課(財政担当)を経て、2024年4月より秘書政策課に所属。

 

 

ふるさと納税未経験者をターゲットにしたSNS戦略

 

公式Instagramアカウントを開設した経緯を教えてください

浅田

2024年10月29日の定例記者会見で発表した「西尾市版ふるさと納税3.0」の取組の一環です。経費5割ルールが厳格化される中、委託事業者や返礼品の潜在能力に頼り切るのではなく、市自らのPR力を強化する必要があると考え、SNS戦略に取り組むことになったのです。

長瀬

アカウント開設時に大規模なキャンペーンを実施しました。プレゼント当選者50名以上、期間は10月29日から1月19日まで。ふるさと納税締切の年末を期限にしなかったのは、1月19日が「にしおマラソン」の開催日だったためです。当日はゴール地点にInstagramのPRパネルを設置し、ランナーの皆さんに周知しました。そのほか「鰻♥抹茶大好き! PRアンバサダー」に松井珠理奈さんを起用したり、名鉄電車全線で中吊り広告を展開したりもしましたね。

 

「にしおマラソン」は愛知県内で唯一の男女混合フルマラソン大会。約7,000人のランナーが参加する

 

キャラクター「まーちょ」「うなーちょ」が印象的ですね

長瀬

返礼品の紹介だけでは印象が薄いため、キャラクターを登場させたのです。かわいい“ゆるキャラ”では他との差別化ができないことから、私が広告会社勤務時代に市に提案していた筋肉系キャラクターが採用されました。

浅田

市内のうなぎ組合さん等からは「気持ち悪い」と言われましたが、キャラクターが注目され印象に残っているということなので、ある意味狙い通りですね(笑)。

 

SNS戦略の狙いは?

浅田

現状のふるさと納税の利用者は、利用可能者の2割以下だといいます。私たちは残り8割の未利用者に向けてSNSマーケティングを始めました。特徴的なキャラクターで目を引き、ふるさと納税や市のPRにつなげたいと考えています。

長瀬

投稿内容は基本的に私たちで考えています。何が刺さるかはまだ手探りの部分もあるので、様々なネタを投稿して反響を見ていますね。届けたい内容と求められている内容のバランスを取りながら進めています。

効果はいかがですか?

長瀬

ふるさと納税の寄附層より若い世代が中心のInstagramで1万人ものフォロワーが集まり、「ふるさと納税してみます」「このインスタで西尾市を知りました」等のコメントも寄せられ、新しい層にリーチできていると感じます。当選者が自身のアカウントで返礼品を紹介する、アレンジレシピを投稿するなど、フォロワーが西尾市の魅力を広めてくれる好循環も生まれているようです。

浅田

アカウントを開設した10月以降の寄附額は前年同期比110%〜120%で推移。駆け込み需要が終わった1月以降も好調が継続し、着実に効果を実感しています。

 

 

さらなる飛躍を目指して新たな取組にチャレンジする

 

「西尾市版ふるさと納税3.0」について教えてください

浅田

ふるさと納税に関する市の取組を3段階に分けて考えています。創世記の「1.0」、ポータルサイト内の画像ブラッシュアップなどが中心の「2.0」、そして市が主体的に取り組む「3.0」です。「3.0」ではSNS戦略を中核として、西尾市を応援してくれる方々に参画いただく「市民営業マン」という施策も予定しています。

 

組織の運用体制は?

長瀬

兼務ではありますが、2024年度からポータルサイトごとに担当者を付けました。各職員がポータルサイト担当者と直接連絡を取り、日々学びながら取り組んでいます。受け身ではなく自分事として積極的に取り組む形へと変わり、効果的な広告出稿ができるようになりました。

 

返礼品事業者との連携についてお聞かせください

浅田

特にInstagram開設記念キャンペーンでは事業者さんの協力が不可欠でした。フォロワーゼロで広告効果もわからない状態から次々と輪が広がり、ありがたかったですね。市の積極的な取組を伝え、ご理解いただくことで協力体制を築いてきました。事業者名や商品の認知度向上にもつながり、ウィンウィンの関係ができています。

 

「まーちょ」「うなーちょ」のモチーフは市の特産品である抹茶と鰻。積極的なPRで当選者は70名規模に

 

今後の展望は?

浅田

現在Instagramフォロワー数が自治体全国第3位なので、まずは第2位の飯塚市(約1.4万)を追い越すことが目標です。2025年2月からはX(旧Twitter)もスタート。視覚的訴求に強いInstagramに対し、Xは拡散性が高く外部リンクも設定しやすい点が強みですね。また同年同月より、西尾市の様々な魅力を知ってもらうために、異なる事業者の返礼品を全5回で届ける「にし推し!定期便」も始めました。さらに、ポイント還元規制を控える今年は、9月末に駆け込み需要のピークを想定してスケジュールを立てています。

 

他の自治体へのアドバイスをお願いします

長瀬

やはり主体的に取り組む姿勢が重要ですね。寄附者に選ばれるためには委託業者まかせにせず、そのまちを一番よく知っている職員が深く関わることが大切だと思います。職員の努力が伝わればファンがついてくれると思いますので、私たちも熱量を持って取り組んでいきたいです。

 

(取材日:2025年3月28日)

 

 

西尾市 総合政策部 秘書政策課

https://www.city.nishio.aichi.jp/

〒445-8501 愛知県西尾市寄住町下田22番地

TEL:0563-56-2111(代表)

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