一般社団法人 自治体DX推進協議会

災害時でも、過疎地域でも、安心できる周産期医療提供体制を実現

「地域の中核病院が分娩の受入停止」―。産科医・産科施設減少に関する報道が後を絶たず、国内の周産期医療体制の危機が浮き彫りになっている。「この地域では、安心して出産ができない」というレッテルは、さらなる人口減少など地域に暗い影を落としかねない。

こうした中、メロディ・インターナショナル㈱では「世界中のお母さんに、安心・安全な出産を!」という理念を掲げ、周産期遠隔医療プラットフォームを展開。自治体・病院連携での導入も進んでいる。

 

 

 

メロディ・インターナショナル株式会社
CEO 尾形 優子様

メロディ・インターナショナル株式会社
CEO 尾形 優子 プロフィール
  • 2000年の政府による地域電子カルテネットワーク事業への参画からデジタルヘルスの世界に関わる。
  • 2002年に日本初の周産期電子カルテ事業で最初の起業に成功。
  • 2015年「世界中のお母さんに安心・安全な出産を」を企業ミッションに掲げ、メロディ・インターナショナルを設立。
  • モバイル胎児モニターの開発や周産期遠隔医療プラットフォームの開発・普及に取り組んでいる。
  • 京都大学大学院工学研究科原子核物理学修了。

 


 

 

周産期医療分野のイノベーションを牽引

 

―創業されたきっかけや事業内容ついて教えてください

IT会社勤務時代に電子カルテの標準化を研究・開発するコンソーシアムに参加し、日本初の産婦人科電子カルテの事業化を成功させることができました。その過程で、日本は世界一の周産期医療国であるといわれているものの、実は産科医や施設のひっ迫状態が著しいこと、発展途上国においてもまだまだ安全なお産の体制が整っていないことなど、周産期医療の現状を目の当たりにしました。
そこで、遠隔医療に取り組むソリューションの提供に尽力するため、メロディ・インターナショナルを2015年に設立しました。
従来大型機器であった分娩監視装置を小型化したモバイル型「分娩監視装置iCTG」(以下「iCTG」)の開発や、遠隔での胎児モニタリングやデータ管理ができる「Melodyi」(遠隔医療プラットフォーム)の提供を実施。医療機器承認を取得し、世界保健機関(WHO)の医療機器要覧に製品が掲載されるなど、グローバルな評価も得ています。

 

「分娩監視装置iCTG」。医療過疎地での妊婦モニタリング、ハイリスク妊婦の遠隔管理や、緊急時・災害時の胎児モニタリングが可能

 

 

―モバイル化、DX化と、まさに周産期医療分野におけるイノベーションを牽引されてきたのですね

従来、モニタリングされたデータはプリントして保管するためコスト負担も多かったのですが、昨今では医療分野でもDX化が進み、だいぶ変化がみられています。弊社としてもオンプレミス、クラウド、閲覧用デバイス提供、データ連携など様々な提案をしながら、より良い形で多くの医療機関に導入したいと意気込んでいます。また、病院内や妊婦の家庭への貸し出しはもちろんのこと、病院の救急車に積載して活用いただいている事例もあります。

 

 

能登震災下で病院が被災
iCTGを活用してお産が実現

 

―国や自治体との連携事例について教えてください

四国の島しょ地域や他都道府県の中山間地域での実証実験を多数実施してきました。北海道余市町・北後志地域では、通院負担やリスク軽減のため遠隔妊婦健診サポート、自治体と地域医療機関との連携を実施。導入にあたっては、機器の使い方の動画を作成したり、消防組合での講習会などを行ったほか、問合せ窓口や体制を整えながら自治体と医療機関の調整も実施しました。
また、有事の際の活用も進んでいます。
千葉県では、コロナ禍で搬送先が決まらずに救急車内で死産となってしまったという事案がありました。その後、千葉県、周産期センター、かかりつけクリニックが連携してコロナ禍で自宅療養中の妊婦の容体管理を担う体制を整えました。
石川県では、自治体と病院が一体となる協議会が立ち上がり、8病院に「iCTG」を導入。データを県立中央病院で監視する仕組みで運用しています。「iCTG」導入にあたっては、厚労省の「医療施設設備整備費補助金」などが活用可能となっています。そして2024年1月の能登半島震災で、産科病棟が被災したものの、医師らの尽力により震災翌日から分娩が再開されました。モバイルタイプで電源を必要としない「iCTG」の有効性が発揮された事例だと感じています。

 

―「iCTG」が防災対策、保健医療サービスの拡充、地方創生、移住促進にも貢献していく未来が見えますね

「安全に出産ができる街だ」「近隣の医療機関との連携がある」という安心感は、出産に関わる妊婦さんだけではなく、家族の安心にも繋がります。妊娠中は、ハイリスクの方はもちろんのこと、妊婦さんなら誰しもが不安と隣り合わせです。『個人で「iCTG」を保有したい』という問い合わせもあるほど、ニーズは大きいと感じています。
市民病院が分娩受入休止などをすると、地域にネガティブな印象を与えてしまいます。自治体さんで産婦人科医探しに奔走しているところもあると聞きます。そうした部分を、我々のソリューションで解決ができたら幸いです。

(取材日:2024年3月15日)

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メロディ・インターナショナル株式会社
https://melody.international/
〒761-0301 香川県高松市林町2217-44

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