コミュニケーションから組織を徹底分析
『モノサシ』で組織改革を始めてみませんか?
職員間の見えにくい「人のつながり」を、『モノサシ』を通じてデータで可視化します!
株式会社モザイクワーク
組織診断ツール「モノサシ」開発・分析責任者
板垣 寛
臨床心理士、公認心理師。修士(心理学)。医療機関や児童福祉施設での集団精神療法、心理判定・相談業務に従事し、保育専門学校の教員を経て、株式会社モザイクワークへ。組織を「多様な人々が働きやすい環境」へと変えるための支援に取り組んでいる。
人のつながりを立体的に分析
『モノサシ』の基本的な考え方を教えてください。
部門間の連携がうまくいかない、職員の離職が続く、生産性が思うように上がらない―。こうした課題の背景には、制度や仕組みだけでは説明しきれない「組織内のコミュニケーション」が深く関わっていることが少なくありません。
『モノサシ』は、組織内のコミュニケーションを可視化し、組織の状態を立体的に把握するためのツールです。従来の組織サーベイでは、意識や満足度など個人の「感じ方」に注目しますが、『モノサシ』は組織のコミュ二ケーションに着目し、組織の構造的な課題と解決の糸口を見つけることを目的としています。
どのように組織を分析するのでしょうか?
4つの側面から人間関係を分析します。1つ目は「コミュニケーション」、日常的な情報交換や交流です。2つ目は「心理的つながり」で、信頼関係や困った時に相談できる関係性を測ります。3つ目は「スキル継承性」、業務知識の教え合いや不在時のサポート関係ですね。4つ目は「未来志向性」、組織のビジョンや将来像を語り合える関係を指します。これらがバランスよく機能しているかどうかと、マネージャーの機能性や他部門との連携状況も併せて分析し、組織の健全性と改善ポイントを明らかにします。

組織内の人間関係を、ネットワークとして可視化。キーパーソンや部署間の連携状態が一覧できる。※ネットワークはサンプルです
働きやすい組織を目指して
活用事例や実際の効果は?
ある企業では、1回目の診断で特定の人への影響力の集中が判明。そこでマネージャー研修や若手のプロジェクト登用などを実施した結果、1年後の診断ではバランスが良くなり、会社全体で前向きな発言や提案が増えたと聞いています。診断結果からハラスメントのリスクがある部署を特定し、人事異動や役割変更を行ったケースもありました。多くの組織から具体的な改善の報告が届いています。
自治体に向けてメッセージをお願いします。
『モノサシ』では、全70問のアンケートに答えるだけで、見えにくかった組織内のつながりを可視化できます。年に1度など継続的なモニタリングによって、変化を追跡することも可能です。当社では診断結果を踏まえた具体的なアドバイスも行っており、組織改善のサイクルをご支援しています。多くの自治体様にご活用いただき、組織改革の一助となれることを願っています。
(取材日:2025年4月22日)
全国初の自治体導入事例
職員300名の“つながり”を科学する──
組織に潜む課題を見える化し、改革を促進!
少子高齢化、人材の流出、縦割り組織の弊害─。自治体内に複雑な課題が山積する中、滑川市は職員間の非公式ネットワークを可視化し、課題の根本原因を浮き彫りにする組織サーベイ『モノサシ』を導入。総合計画に掲げる基本理念「市民起点・市民共創」の浸透に向け、確かな一歩を踏み出しています。
富山県滑川市 副市長
柿沢 昌宏
京都大農学部卒。1986年に県職員となり、商工労働部次長、総合政策局長、議会事務局長などを歴任した後、2022年4月、滑川市副市長に就任。市民サービス向上を図るため、人的資本経営および組織力の強化に重点を置く。
滑川市が抱えていた組織課題について教えてください。
私にはもともと「市民の幸せを第一に、職員一人ひとりが主体的に事業を提案し、市民と協働して成果を生み出せる市役所であってほしい」という思いがありました。職員同士や市民と意見を重ね合わせることで、より良い政策や市民サービスが生まれるからです。そのためには、トップの指示に従うだけではなく、それぞれの職員が思いを持ち、主体的に行動し輝ける職場づくりが必要でした。
『モノサシ』導入の決断に至った経緯は?
人的資本経営の勉強会や研究会に参加する中で、人を「コスト」と考える発想から「人材に投資し、市民により良いサービスを提供できる存在に成長させる」という考え方にシフトする重要性を学んでいます。その流れで、組織の現状を科学的に分析できる『モノサシ』を知り、全国自治体初となる導入を決断。市役所のほか市が運営する公共施設も含め、約300人規模での大規模な組織診断を実施しました。
診断結果から見えた組織の実態は?
滑川市の職員は「コミュニケーション」のつながりが密で、「心理的つながり」でも上下関係なくフラットで良好な関係性がある一方、強いリーダーシップを持つメンバーが少ないことが判明しました。そして最も重要な発見は、「未来志向性」が最も弱い部分だったことです。この結果は、私たちが感じていた課題を裏付けるデータとなりました。
診断結果を踏まえて、どのような改善策を実施されましたか?
総合計画を改定して「市民起点・市民共創」の基本理念を明確に打ち出すとともに、フラットな組織の中でより職員一人ひとりが自由に考え、提案を引き出すマネジメントの仕組みづくりに着手しました。市役所内にプロジェクトチームを設置し、人材育成の方針や組織マネジメント体制を全面的に見直しています。
導入後の変化や効果はいかがでしょうか?
『モノサシ』の結果を共有した際、多くの職員に納得感があったようです。データによる裏付けがあることで、現状の課題および新しい仕組みの必要性への理解と協力を得やすくなりましたし、今後の組織改善の方針について建設的な議論ができるようになりました。2025年度からは、新しいマネジメント方式「行政経営システム」を本格的にスタートさせます。組織を変えていく上で、現状分析ができたことは非常に価値がありました。
今後の展望をお聞かせください。
科学的な組織診断により、感覚ではなくデータに基づいた組織改革が可能になります。組織改革は、「変な癖」がついていない状態のうちがチャンス。当市では引き続き、メンバー同士が有機的に機能し合える仕組みを取り入れることで、「市民一人ひとりが笑顔いっぱい幸せいっぱい」になるという目標を達成したいと考えています。
(取材日:2025年2月13日)