一般社団法人 自治体DX推進協議会

受身のDXからの脱却。生成系AIで実現する自治体主導の自治体DX(サニタイザーAIゲートウェイ)

自治体DXの新たな潮流として、生成系AIの活用が注目を集めている。先進自治体では、ChatGPTを業務に取り入れ、効率化と職員の創造性の解放を図る動きが加速している。一方で、セキュリティ面での課題や職員のスキル不足など、導入への障壁も少なくない。こうした中、自治体の業務システムに精通し、長年にわたりDX支援に取り組んできた川口弘行氏は、自治体主導でのAI活用を後押しすべく、ChatGPTを安全に利用できるプラットフォーム「サニタイザーAIゲートウェイ」を開発。自治体職員自らがAIのポテンシャルを引き出し、ベンダー依存から脱却した真のDXを実現する道筋を示す。変革の時代に、自治体が握るべき主導権とは何か。川口氏に話を聞いた。

 

サニタイザーAIゲートウェイの仕組みについて。費用は24万円/年~ ※5年契約


 

合同会社川口弘行 代表社員 川口 弘行様

合同会社川口弘行
代表社員 川口 弘行 プロフィール
  • 芝浦工業大学大学院博士後期課程修了、博士(工学)。
  • 総務省地域情報化アドバイザー。
  • 1996年行政書士登録。
  • 2004年日本行政書士会連合会高度情報通信社会対策本部WG委員。
  • 会津大学短期大学部非常勤講師、東京都立中央・城北職業能力開発センター講師を経て、2009年高知県CIO補佐官、2013年経済産業省CIO補佐官、東京都港区情報政策監、2015年佐賀県情報企画監。
  • 2017年川口弘行合同会社設立。
  • 省庁、都道府県、区市町村におけるCIO補佐官業務に携わる。



 

 

ChatGPTを全庁導入し、「行政DX」を力強く推進

 

―自治体DXの現状をどのように認識されていますか

自治体DXの現状を見渡すと、外部委託に頼らざるを得ない状況が散見されます。例えば、業務システムの構築や運用、データ分析などの領域で、専門性の高いベンダーに委託するケースが多いのが実情です。もちろん、民間の知見を活用することは重要ですが、一方で、DXの主体は本来自治体であるはずです。

 

理想としては、職員自らがデジタル技術を駆使して、業務プロセスの見直しや新たな住民サービスの創出に取り組むことが望ましいと考えます。しかし、現実には、職員のITスキルの不足や、デジタル人材の確保の難しさ、限られた予算といった制約から、思うようにDXを進められない自治体も少なくありません。結果として、ベンダー主導のDXに頼らざるを得ない状況に陥りがちなのです。

しかし、この状況は決して不可避ではありません。むしろ、生成系AIの登場によって、自治体職員の皆さまがDXの主導権を握る絶好のチャンスが訪れていると言えるでしょう。

 

―生成系AIは具体的にどのように自治体DXに役立つのでしょうか

生成系AIは、プログラミングなどの専門スキルがなくても、職員の皆さまが直感的に活用できるツールです。例えば、ChatGPTを使えば、条例や規則の検索、議事録の要約、問い合わせ対応の自動化など、幅広い業務でAIの支援を受けられます。

つまり、生成系AIは、ITスキルや人材、予算の制約を乗り越えて、自治体職員の皆さまが自らDXを推進していくための強力な味方になり得るのです。もちろん、AIを活用するためのノウハウの蓄積や、セキュリティ面での対策は必要です。しかし、それらの課題はクリアできるはずです。

大切なのは、「受身のDX」から脱却するんだ、という意識改革です。デジタル技術は、自治体職員の皆さまを補助するためにある。そのことを念頭に置いて、生成系AIをはじめとするデジタルの力を味方につけていけば、自治体主導のDXは決して夢物語ではないと強く思っております。

 

 

わずか3時間で開発可能
職員自らがAIシステムを構築する新時代へ

 

―自治体で利用されているChatGPTの活用状況について

現在、多くの自治体で導入が進んでいるChatGPTは、APIを利用した個別開発のAIチャットサービスとしてLGWAN-ASP経由で提供されているケースが大半です。
しかし、これらのサービスでは、ChatGPTの本来の性能を十分に引き出せていないのが実情です。
まず、APIを利用したサービスでは、コストの問題があります。ChatGPTのAPIは、利用したトークン数に応じた従量課金制となっているため、自治体の単年度予算会計では費用の予測が立てにくく、予算オーバーのリスクがつきまといます。そのため、機能を限定的にし、利用頻度を抑えざるを得ない状況にあります。加えて、個別開発されたAIチャットサービスでは、ChatGPT Plus(※1)の高度な機能、例えばプラグインやAdvanced Data Analysis(Code Interpreter)(※2)、GPTs(※3)などを活用することができません。

つまり、現状の自治体では、生成型AIの真の実力を引き出せていないのです。 このままでは、職員の皆さまが、生成型AIに大きな期待を抱いていても、実際に業務で活用する場面では限界を感じ、徐々に幻滅していってしまうかもしれません。
私たちは、自治体の皆さまにこそ、生成型AIの真の力を体験し、業務改革に活かしていただきたいと考えています。そのために、セキュリティを確保しつつ、コストを抑えながらChatGPT Plusの全機能を利用できる環境を提供したい。それが、サニタイザーAIゲートウェイなのです。

 


※1 ChatGPT Plus:米国OpenAI社が提供する大規模言語モデルGPT-3.5/GPT-4を活用した対話型AIサービスの有償版。無償版と比べ、より高度な文書生成や分析、画像解析などが可能。


※2 Advanced Data Analysis(Code Interpreter):ChatGPT Plusの機能の一つ。プログラミング言語を理解し、コードを解釈・実行できる。データ分析やグラフ作成など、高度な処理が可能。


※3 GPTs:OpenAIが開発したChatGPTをユーザー自身がカスタマイズし、独自のチャットボットを作成できるサービス。プログラミング知識は不要で、対話形式でAIの作成が可能。

 

 

―サニタイザーAIゲートウェイの特長について教えてください

サニタイザーAIゲートウェイの大きな特長は、自治体のネットワークとインターネットを分離したまま、ChatGPTの全機能を利用できる点です。専用のブラウザを介して、自治体内の端末からChatGPTに接続します。その際、通信は安全に保たれた状態で外部からの不正アクセスを防ぐことができます。また、ChatGPTからダウンロードしたファイルは、自動的に無害化処理が行われます。これにより、ウイルスの混入などのリスクを最小限に抑えられます。

さらに、サニタイザーAIゲートウェイには、GPTs機能による独自AIの開発環境も用意されています。つまり、職員の皆さまが、ノーコードでカスタムAIを作成し、業務に適用できるのです。

加えて、サニタイザーAIゲートウェイは、自治体の皆さまに優しい価格設定となっています。他社のAIサービスの多くが、問い合わせ件数に応じた従量課金制を採用しているのに対し、サニタイザーAIゲートウェイでは、定額の利用料金で、ChatGPTを無制限に利用することができます。AIの活用が進むほど、コストメリットを実感いただけるはずです。
セキュリティ、利便性、コストのすべての面で、自治体に最適化された、ChatGPT活用のための基盤。それが、サニタイザーAIゲートウェイなのです。

 

―具体的な活用事例を教えていただけますか

熊本県菊池市では、過去5年分の議事録をChatGPTに学習させ、議会における質問や答弁の分析に役立てています(現在実証中)。キーワードを入力するだけで関連する過去の発言を抽出でき、議会対策の効率化につながることが期待されます。
実は、このシステムの開発には、わずか3時間程度しかかかっていません。決して難しい技術ではないのです。むしろ、自治体の職員の皆さま自身の手で、このようなAIシステムを構築することが可能だと私は考えています。

また、ある自治体では、ChatGPTを活用して条例や規則をAIに学習させ、職員からの問い合わせに自動で回答する仕組みを構築しました。法令の理解や適用に関する職員の悩みに、AIが24時間365日対応可能となったのです。

サニタイザーAIゲートウェイは、まさにそのための基盤となるサービスです。弊社では、職員の皆さまが自らAIを開発し、業務に活用していくことを全力でサポートしますし、そうなることを目的として、プラットフォームとしてサニタイザーAIゲートウェイを提供しています。

 

 

自治体DXの本質―
デジタル技術を活用し、住民サービス向上を目指す

 

―調達業務の効率化についても取り組まれていると伺いました

調達業務の効率化と適正化を支援するサービスとして、「プロキュアテック」を提供しています。プロキュアテックは、生成型AIにより、自治体の調達仕様書を自動生成するシステムです。
これまで、調達仕様書の作成は、職員の手作業に頼る部分が大きく、属人化やノウハウの蓄積が課題となっていました。プロキュアテックを使えば、AIが事業の背景を理解した上で、最適な仕様書を提示。調達プロセスの透明性と公平性を高めることができます。

プロキュアテックの特長は、単なる文章生成にとどまらない点にあります。自治体の情報化計画や過去の調達事例など、膨大なデータをAIに学習させることで、その自治体に最適化された仕様書を提案できます。また、職員とAIが対話しながら仕様書を練り上げていくことも可能です。これにより、職員の知見とAIの処理能力を組み合わせ、より精度の高い調達仕様書の作成を実現しているのです。
実際にプロキュアテックを導入した自治体からは、「調達準備の時間が大幅に短縮された」「ベンダーとのコミュニケーションがスムーズになった」など、高い評価の声が寄せられています。ある自治体では、システム調達の期間を従来の半分に縮めることができたそうです。こうした事例からも、プロキュアテックが自治体の調達業務の効率化に大きく貢献していることがわかります。

さらに、プロキュアテックは、職員の意識改革の面でも効果が期待できます。調達仕様書の作成プロセスを通じて、職員の皆さまが改めて調達の目的や要件定義の重要性を認識する機会になるからです。精度の高い仕様書を作成するために必要な情報を考えることで、調達に対する理解も深まります。こうした経験の積み重ねが、自治体の調達力の底上げにつながっていくはずです。

 

開発中のプロキュアテックの新機能の画面。自動生成された仕様書の文面をさらにAIとの対話で推敲できるエディタ


 

 

 

―自治体DXの本質は何だとお考えですか

自治体DXの本質は、デジタル技術を活用して、より良い住民サービスを実現することだと考えます。そのためには、自治体の皆さまが主体的にデジタル技術を業務に取り入れ、活用していくことが不可欠です。
これまでのように、ベンダー任せのDXでは、その本質を見失ってしまう恐れがあります。自治体の皆さまには、DXの主導権を握っていただきたいのです。

もちろん、そのためには職員の皆さまのデジタル・リテラシーの向上と、組織文化の変革が必要不可欠。一朝一夕にはいきませんが、デジタル人材の育成に力を注ぎ、挑戦を奨励する組織風土を醸成していくことが肝要だと考えます。
先進自治体では、デジタル人材育成に注力し、職員のスキルアップに取り組んでいます。AI研修の実施や、デジタル化の中核となる人材の登用など、様々な施策が進められています。

加えて、トップのリーダーシップによる意識改革も重要です。首長自らがDXの旗振り役となり、職員の意識変革を促す。そうした取り組みの積み重ねが、自治体DXの原動力になるのです。

 

―自治体職員の皆さまに期待することは何でしょうか

冒頭でもお話ししたように、大切なのは「受身のDX」から脱却するんだ、という意識改革です。デジタル技術は、自治体職員の皆さまを補助するためにある。そのことを念頭に置いて、生成系AIをはじめとするデジタルの力を味方につけていけば、自治体主導のDXは決して夢物語ではありません。チャレンジする職員の皆さまのために、私たちは全力でサポートさせていただきます。

ChatGPTをはじめとする生成系AIは、職員の皆さまの創造力を増幅し、これまでにない発想を生み出す原動力となるでしょう。

サニタイザーAIゲートウェイとプロキュアテック、この2つのサービスを通じて、皆さまの挑戦をサポートさせていただきます。共に手を携えて、自治体DXの新しい未来を切り拓きましょう。
私たちは、サービスの提供だけでなく、AI活用やChatGPTについての相談会も随時開催しています。「何かしたい。けれども、何から始めたらいいかわからない」という場合は、ぜひお気軽にご連絡ください。オンラインでの個別相談も承っております。皆さまの疑問や悩みに寄り添い、一緒に解決策を探っていきたいと思います。

(取材日:2024年5月8日)

 

サニタイザーAIゲートウェイ・プロキュアテック(合同会社川口弘行) の資料請求・お問合せはこちら

 

 

 

川口弘行合同会社

https://www.kawaguchi.com/

〒144-0052 東京都大田区蒲田5-36-2 相互蒲田ビル4階

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