一般社団法人 自治体DX推進協議会

「食べチョクふるさと納税」
ビビッドガーデンが始める生産者支援

ふるさと納税のすそ野が広がる中、2023年9月より産直サイトNo.1の「食べチョク」が参入。寄附者と生産者が直接繋がり、寄附者は応援したい気持ちを納税に乗せ、生産者は産直品同様に鮮度を保ったまま商品発送が可能だ。昨今、モノ、コト、トキ、イミといった様々な消費行動が取り上げられるが、「食べチョク」は生産者への貢献的側面や食材へのこだわりなど、まさにイミにつながる消費・寄附といえる。「食べチョクふるさと納税」の立ち上げに関わった株式会社ビビッドガーデン田中康湧氏に話を伺った。

 

 

株式会社ビビッドガーデン 田中 康湧様

株式会社ビビッドガーデン
田中 康湧 プロフィール
  • 兵庫県尼崎市出身。
  • 大学では農学を修了。
  • 一次産業に関わる課題にアプローチするため、新卒でビビッドガーデンに入社。
  • 株式会社ビビッドガーデンでは事業開発&生産者パートナーとして、ふるさと納税の立ち上げから運用と自治体様との連携事業の全般を担当。
  • また、これまで20自治体以上と連携し、200軒以上の生産者様のEC販路の開拓から定着までをサポート。

 

 

産直サイト「食べチョク」登録生産者数などNo.1を誇る

 

―「食べチョク」の概要について教えてください

代表・秋元里奈が実家の農家が廃業した経験から、中小規模の生産者でも農業を継続できるよう、生産者のこだわりが正当に評価される世界を作りたいという思いで、2016年11月に㈱ビビッドガーデンを設立、2017年8月に「食べチョク」をリリースしています。
生産者との信頼関係を築くことを重要視し、生産者のストーリーや情熱をサイト上で紹介しながら、想いを届けることを大切にしています。全国に40名ほどしか生産者がいないという品種のりんご、国産アボカドなど希少な食材や、一般流通には出回りにくいこだわりが詰まった伝統野菜を取り扱えるのは、全国9,300軒以上の生産者さんと繋がっている食べチョクだからこそできることだと自負しています。
現在「食べチョクコンシェルジュ」など4つの定期便を提供しているほか、企業の福利厚生や販促キャンペーンに活用できる法人向けサービス「食べチョク for Business」などを展開し、国内の産直サイトの中で“認知度”利用率“など9つのNO.1を獲得しています。

 

―ここまでの成長の背景や、転機となったエピソードがあれば教えてください

コロナ禍の生産者支援です。学校給食や各種イベントがなくなり大量の在庫を抱えた生産者さんたちからのSOSを受け、社内リソースのすべてを生産者支援に捧げました。コロナでお困りの生産者さんの特設ページも作成。その過程で、生鮮食品のECが大きく伸びたことや、社会全体が苦しい状況に置かれるなかで生産者にまで目が届くようになったことなど、様々な変化もあり、食べチョクの登録ユーザー数は40倍超と事業規模が大きく拡大しました。「買うなら困っている生産者から買いたい」「自分がどう貢献できているかを意識するようになった」といった嬉しい声もたくさんいただいたことで、単に事業成長にとどまらず、自分たちが目指していた世界観に共感が集まっていることも実感しています。
今では登録ユーザー数は95万人、登録生産者数は9,300軒を突破。生産者1軒あたりの月間最高売上は、野菜788万円、果物1,869万円、畜産物1,295万円、水産物1,789万円にまで拡大しています。

 

食べチョク 代表 秋元 里奈氏(写真左)。実家の相模原市の農家が廃業した経験から、ビビッドガーデンを創業

 

 

ふるさと納税参入で、農林水産物返礼品の拡充に寄与

 

―ふるさと納税へ参入したきっかけは

生産者さんから「ふるさと納税の返礼品に参入できないか」といった相談を受けたことが一つのきっかけとなっています。食べチョク登録生産者さんたちにアンケートを取ったところ、なんと8割がふるさと納税の返礼品として扱ってもらうことを希望されています。とはいえ「中小規模の生産者が参入できるのか?」という躊躇の声もありました。

 

―ポータルサイトなどに掲載する場合、返礼品の一定量の確保が欠かせませんよね?

はい。そこで、返礼品の品質管理や問い合わせ対応を当社が担うことで、在庫数に限りがある小規模の生産者や、これまで自治体様の管理工数の兼ね合いで取り扱いが難しかった生鮮食品を出したい生産者も、ふるさと納税の返礼品に参入できると考えました。これにより、生産者と地域を知ることで応援したい地域に継続的に納税する流れを作り、その地域に住み農業や漁業を営む生産者に貢献したいと思いました。そして、ふるさと納税の返礼品として食べチョク生産者の食材を楽しめる「食べチョクふるさと納税」のスキームが2023年に誕生しました。

 

―現在(2023年12月)の参加自治体など実績は?

現在は兵庫県、熊本県宇城市、長崎県長崎市、栃木県那須塩原市、京都府南丹市、山梨県北杜市、長野県中野市、千葉県船橋市、奈良県宇陀市、熊本県益城町、茨城県、高知県奈半利町の全12自治体の参加をいただいています(2023年12月現在)。
参加自治体様からは「食べチョクふるさと納税」は寄附数が安定しており、従来の食べチョクからのお客様に加えて“本県が弱かった農林水産物の補完”“手ごろな寄附額”がお客様の支持を得ている実感があります」という嬉しいお声もいただいています。
ほかの自治体様も、農林水産物、地域産品の拡充ができていないという課題感を持っているところが多いようで「一次産品が豊富な食べチョクに期待を持っている」と期待していただくことも多いですね。

 

―自治体にも多くのメリットが見込まれそうですね

出品生産者の開拓や生産者への支払いなどを食べチョクが担い、発送は生産者自身が行うため、ふるさと納税導入における事務工数を削減する面で貢献できていると評価を頂いております。
また、他のポータルサイトでは扱っていない、食べチョクにしかない返礼品があることに対しても評価いただいています。
他にも、これまでECサイトなどを利用していなかった生産者さんが、食べチョクふるさと納税をして、食べチョク(ECサイト)に登録することで、生産者さんの販路拡大に繋がるといったケースもございます。

 

―寄附者の属性などは

そもそも「食べチョク」は、品質や栽培方法にこだわった生鮮品を買いたい、生産者を応援したい、貢献したいという思いがある方が主に購入されているので、割引や価格面のみを全面に出したキャンペーンを実施していない。そこは食べチョクふるさと納税に対しても同じで、本当に生産者さんを応援したいという気持ちで購入いただいている手応えがあり、ふるさと納税の本質が具現化されていると評価いただいています。
また、「食べチョク」の購入の傾向としてユーザーさんがお気に入り生産者から定期的に買い続ける方が多いこともあって、「食べチョクふるさと納税」でも定期便をスタートしました。数か月ごとに食べやすい量で届くことや、季節ごとのおすすめの品が受け取れるので、食べチョクの良さを活かせている手応えがあります。

 

 

自治体との取り組み

 

―ふるさと納税以外に自治体との取り組みはありますか?

自治体様との連携で生産者の販路拡大を支援したり、商品ブランディングに関わる取り組みを実施しています。
まず「EC販路拡大支援事業」は、ネットに不慣れでなかなかオンライン直販に踏み出せない生産者に対し、自治体様との連携を通して研修会や個別サポートを実施し、伴走型支援で継続的な販売を支援しています。
「商品ブランディング」に関しては、都内でマルシェを開催して商品に関心を持つきっかけづくりやサイト内特設ページで食材活用方法紹介、弊社コンサルティングなど、認知の拡大とブランド価値向上を行っています。オンライン・オフライン両方での活動を通して地域の特産品の魅力を広く伝え、より広い市場で販売できるような取り組みも進めています。
今後としましては、「地域の活性化」「魅力発信」「移住促進」などにも取り組んでいきたいと思っております。

 

文字通り、生産者と消費者を直接繋ぐことが食べチョクのミッション

 

 

―今後の展望をお聞かせください

現在、食べチョクふるさと納税は個々の生産者単位で提供していますが、例えば自治体内の生産者が協力してオリジナルのふるさと納税セットを共同制作する取り組みがあれば、商品価値をより高めることができます。
また、「食べチョクふるさと納税」の参加は食べチョクに出店している生産者であることが条件となりますが、これによって生産者はふるさと納税と、通常の通販の二つの収益源を持つことができます。これは販路拡大につながり、生産者にとって非常に有益なことだと考えます。自治体の皆様と共に、生産者の情熱が正当に評価され、地域の長期的なファンの獲得などにつながるプロジェクトを実現できれば幸いです。
また、食べチョクでは現在「品種を軸にした販促」を行っています。毎年様々な品種が誕生していますが、正直なところ、一般消費者の方にとっては違いが分からないことも多いのが現状です。我々が、品種ごとの魅力を知って体験いただくための橋渡しになれたらと考えています。自治体様ごとに特に注力していきたい品種やアピールポイントもあるかと思いますので、「この品種をぜひPRしたい!」という際もぜひお声がけください。「食べチョクふるさと納税」に新品種や珍しい品種を出していただくことも大歓迎です。
他にも、自治体様との取り組みにつきましてはまだまだ新しいことにもチャレンジしていきたいと考えております。そのため、自治体の皆様と色々な座組を模索していきたいと考えておりますので、お気軽に情報交換やご連絡をさせていただきたいと思っております。

(取材日:2023年12月15日)

 

食べチョクふるさと納税の資料請求・お問合せはこちら

 

EC販路拡大支援事業に参加された生産者のお声(清水果樹園さん)

清水果樹園は、熊本県宇城市で豊かな太陽の光を受け、夫婦でみかんやさまざまな柑橘類を栽培

個別サポートを通して良かったこと
  • 商品ページの作り方、写真の撮り方などを丁寧に教えてもらえた。
  • 他の農家の状況などを聞くことができ、自分たちの状況を客観的に知ることができた。

 

個別サポートを通して変わったこと
  • 商品ページ、写真など言われた通りに変えるようにしたら、1年間で売上がだいぶ伸びた。
  • 訪問サポート直後に販促キャンペーンがあったせいか、売上がすぐに100万円を越えた。
  • リピーターがついた。1年間で15回ほど買われる方が7~8人いた。商品のリクエストも来るようになり、予約販売をするようになった。

 

自治体の声

熊本市 竹田様

訪問サポートでは親切で丁寧な対応が印象的で、今まで知らなかった熊本の魅力、生産者のこだわりを知ることができました。売上はずっと好調です。熊本の魅力を存分に引き出していただき、全国へお届けすることができました。

 

佐賀県 石田様

これまでに佐賀県とビビッドガーデンとで連携した取り組みを継続して実施しています。段取り、事前準備が整っており、シームレスな連携が実現したので安心してお任せできました。サポートが大変手厚く、初出店の方も商品ページを自作&完売という成果が出ていました。

 

カテゴリ一覧

アーカイブ

その他の自治体DXガイド

人事・労務から人材マネジメントまで<br>一気通貫の人事DX「One人事」が。働き方を変える

人事・労務から人材マネジメントまで
一気通貫の人事DX「One人事」が。働き方を変える

寄付額は前年同月比3倍超。<br>デジタルマーケティングで「ふるさと納税」の成果が上がる

寄付額は前年同月比3倍超。
デジタルマーケティングで「ふるさと納税」の成果が上がる

プレミアムデジタル商品券を通じて、地域経済の発展に貢献するとともに地域のDXを推進

プレミアムデジタル商品券を通じて、地域経済の発展に貢献するとともに地域のDXを推進

ふるさと納税の革新をリードする<br>「ふるなび」が描くふるさと納税の未来

ふるさと納税の革新をリードする
「ふるなび」が描くふるさと納税の未来

自治体DXガイドの一覧はこちら

無料相談・お問い合わせ

地方自治体と事業者の架け橋となり、デジタルトランスフォーメーションを通じて地方創生を加速するパートナーシップの場を提供します。お気軽にお問合せください。

無料相談・お問い合わせ

TOP

一般社団法人 自治体DX推進協議会