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事業者インタビュー

観光DXで地域の魅力を最大化!
観光協会・DMOの一括予約プラットフォーム

福島市観光コンベンション協会の観光Webメディア「福島市観光ノート」では、同サイトからエリア内の宿泊施設を一括検索し、その場で予約できるシステムを導入。2025年2月のリリース以降、宿泊予約件数や会員登録数は右肩上がりで推移しており、観光DX推進モデルとしても注目を集めている。

この革新的なシステムをリリースしたのが tripla株式会社だ。ホテル・旅館向けDXをリードする同社の代表取締役CEO高橋和久氏に、自治体・DMO(観光地域づくり法人)向けサービスの展開や今後の可能性について話を聞いた。

 

tripla株式会社 代表取締役CEO 高橋 和久

tripla株式会社 代表取締役CEO
高橋 和久

北海道大学・同大学院卒業後、米国MBAスクールに留学。

帰国後は外資系企業4社でキャリアを積む。

多様な業界での経験を活かし、2015年4月にtripla株式会社を設立。

ホテル・旅館業界のDXをリードしながら、宿泊施設向けのマーケティング支援ツールの開発・提供に取り組んでいる。

 

 

ホテル・旅館DXから地域観光プラットフォームへ

 

自治体・DMO向けにサービスを展開するようになった背景は?

弊社はもともとホテル・旅館向けのDXサービスを提供している会社です。予約エンジン「tripla Book」をはじめ、チャットボット、CRM・マーケティングオートメーションなど様々なサービスを自社開発し、現在では高級ホテルから民泊施設まで、国内外8,000施設以上に導入いただいています。

その過程で、DMOや観光協会、自治体から、「地域全体の予約を一括管理できるシステムがほしい」というニーズをいただいていました。これまでの地域観光サイトでは各宿泊施設の紹介やリンク掲載のみに留まっていて、サイト上で宿泊予約まで完結できるまでに至っていないものが多く見られていました。宿泊施設側としても「公式サイトやOTA(オンライン旅行代理店)用の予約枠管理で手一杯」、「地域観光サイト向けの設定までは手が回らない」という課題があり、当社としても力になりたいと考えていました。

そんな中、福島市観光コンベンション協会の運営する「福島市観光ノート」という観光Webメディアにおいて、当社の予約システム「tripla Book」を連携・導入し、エリア内の宿泊施設予約を可能にしました。この機能は、福島市観光コンベンション協会と連携、実証を進めたプロジェクトです。施設側は自社サイト用の予約設定のみで、DMO側でも同じ予約情報を活用できる仕組みを実現しています。

 

 

宿泊予約機能が搭載された福島市の観光Webメディア

 

 

福島市での導入効果について教えてください

2025年2月の運用スタートから2か月程度ほど経ち、効果測定のデータが蓄積されている段階ですが、すでに毎日のように予約が入っており、好調なスタートを切っていますね。導入から2週間で約300人の会員登録を達成しており、その後も順調に登録数を伸ばしています。蓄積された顧客データを活用したマーケティング施策の展開にも大きな可能性を見出しています。

特に高く評価いただいているのは、客室在庫連携の仕組みです。各施設は公式サイト用の客室在庫管理だけを行えば、DMO側の予約サイトにも自動的に反映される点が実務負荷の軽減につながっているようです。

 

 

他社の予約システムとの違いや、トリプラならではの特徴を教えてください

大きな違いは4つあります。1つ目は全て自社開発のシステムであること。お客様のニーズをヒアリングし、機能改善や追加の要望があれば迅速に反映できる開発力が強みです。平均で月に30機能をリリースできる開発速度は高く評価いただいています。

2つ目は会員制度やポイントシステムなどの機能が充実していること。DMO単位で会員登録ができ、エリア内でポイントの相互利用が可能なので、地域全体へのリピーター獲得が実現します。

3つ目はインバウンド対応力。34通貨での表示・決済が可能で、多言語対応も充実しています。アクセス元地域に合わせた自動通貨切替機能により、海外ユーザーの予約が約2倍に向上しました。

4つ目は手数料の安さです。OTAは宿泊料金の10〜20%程度の手数料が発生すると言われていますが、トリプラではこの手数料を大幅に抑えた設定にしています。「ベストレート機能」によりOTAよりも安い価格で予約できることを明示できるため、直接予約の推進につながっています。

 

 

地域と観光客をつなぐ、デジタルマーケティング

 

自治体やDMOが地域の観光振興をDX化する上で重視すべきポイントは何でしょうか?

先ほど紹介した当社の特徴とも重複しますが、「リピーターの育成」と「インバウンド対応」の部分を自動化することが重要だと考えます。

「リピーターの育成」に関しては、集客はできても、一度訪れた方にまた来てもらうための仕掛けが不足している地域が多い実感があります。トリプラでは、DMO単位の会員・ポイント制度を基盤に、宿泊後のメルマガやLINE通知などの自動フォローアップで再来訪を後押ししています。

また、「インバウンド対応」に関して、観光サイトの多言語はもはや必須ですが、トリプラでは宿泊後のフォローメールも多言語で配信できます。例えば外国人観光客が宿泊した翌日に、「滞在を楽しまれましたか?友人にシェアしてくださいね」といったメールを母国語で送ることで、SNS拡散を促しています。

 

 

地域観光マーケティングの未来

 

今後、自治体・DMO向けサービスをどのように展開していく予定ですか?

今年は福島市に続いて、全国の複数の自治体・DMOで導入が予定されています。こうした導入事例を増やしながら、システム機能のさらなる向上を図っていきます。

あわせてふるさと納税との連携なども視野に入れています。旅行券・宿泊券といったふるさと納税返礼品は送料がかからず地域経済に還元される効果も高いため、当社のプラットフォームとの相乗効果が見込まれます。

 

最後に、自治体・DMOへのメッセージをお願いします

DMOは地域の多様な観光資源を戦略的に統括する力があります。ここを中核とした集客プラットフォームを構築することで、点在する観光資源の一体的な活用と、地域経済を活性化させる―。この実現に向け、我々のデジタル技術で全力サポートします。

DXというと難しく捉えがちですが、まずは「お客様を集めること」「リピーターを育てること」という基本に立ち返ることが大切です。地域の魅力を効果的に発信し、来訪者との継続的な関係構築を実現することで、持続可能な観光地域づくりが実現すると考えています。

 

(取材日:2025年4月21日)

 

 

tripla株式会社

https://tripla.io/

〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-3 住友不動産西新宿ビル3号館3階

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