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開花状況を“現場のスマートフォン”から更新
スポットAI「ToyTalk」と進める観光案内DX

 

日本三名園のひとつ・偕楽園を主会場とする「水戸の梅まつり」には、毎年多くの観光客が訪れる。期間中は梅の開花状況や駐車場、イベント情報の問い合わせが集中し、増える外国人観光客への多言語案内も課題だった。

水戸市は株式会社ブリッジウェルのスポットAI「ToyTalk」を採用し、2026年2月からの水戸の梅まつりで実証を開始。あじさいまつり、水戸黄門まつりへと活用を広げ、7月21日には同社と連携協定を締結した。 

 

水戸市 産業経済部 観光課
主幹 石川 正人

平成27年度水戸市入庁。商工課、生活福祉課を経て、令和4年度から観光課。水戸の梅まつり、あじさいまつり、水戸黄門まつりなど市の主要な観光イベントの企画・運営に携わり、現在5年目。

スポットAI「ToyTalk」の導入では、キャラクターの設計から情報の登録・更新までを担う。プライベートでは、ピアノが趣味であり、水戸市応援バンド等を結成し、休日には精力的にライブ活動や室内楽の演奏を行う。 

 

 

 

「今どのぐらい咲いていますか」に、24時間答える 

 

まず、導入の背景となった課題からお聞かせください。 

当市では日本三名園のひとつ・偕楽園を主な会場に、2月11日から3月中旬にかけて「水戸の梅まつり」を開催しており、毎年多くの観光客が訪れます。この時期になると、梅の開花状況や駐車場、イベント情報などの問い合わせが増加し、対応に多くの時間を取られていました。外国人観光客も少しずつ増えているのに、多言語での観光案内ができていないことも課題でした。他のセミナーでAIを活用した取り組みを見聞きし、当課でも何かできないかと探し始めていた時期に、ブリッジウェルさんからご提案のメールが届いたのです。 

 

数あるAIサービスの中で、選定の決め手は。  

一般的な知識から答えるのではなく、こちらが登録した資料を参照して答える仕組みだったことです。まつりの情報は正確さが第一ですから、ここは外せませんでした。デジタルの技術に明るくない職員でも簡単に登録できること、来場者の皆さんもアプリのインストールが不要で、QRコードがあればどこからでも使えることにもメリットを感じました。キャラクターをたくさん登録できるのでイベントごとに導入しやすく、多言語にも自動で対応してくれます。AIの調査を始めた時期で正式な予算要求を伴っていたわけではない中、実証実験として活用できたことも大きかったです。水戸の梅まつりを皮切りに、6月中旬から7月初旬に開催された「水戸のあじさいまつり」、7月末の花火大会と8月はじめの本祭で構成される「水戸黄門まつり」でも、ToyTalkを活用しました。 

 

130年の伝統を誇る水戸の梅まつり。3,000本以上の梅が咲き誇る初春の偕楽園に、2026年は約32万人が来場した。

 

水戸のあじさいまつりでの挑戦  

 

案内役のキャラクターは、どのように生まれたのですか。  

水戸市には「水戸の梅大使」という観光PR大使がいて、振袖姿で水戸の梅まつりのお出迎えや観光案内をしています。そのため、案内役のキャラクターは、梅大使のイメージを意識し、親しみやすさを演出したいと考えました。 

水戸の梅大使が着る着物をまとった案内役のキャラクター。設定は職員が自由に決められ、複製機能で別のキャラクターへ引き継げる。

 

情報の登録や更新は、どのように行いましたか。  

間違った情報を発信してはいけないので、公式情報やパンフレットを登録し、基本的にはそこから回答してもらいます。加えて、「今どのぐらい梅が咲いていますか」といういちばん多い質問に必ず答えられるように、開花状況は個別にデータを登録しています。

水戸の梅まつりの会場は茨城県の施設であることから、県のホームページで開花状況を更新されているので、私が都度確認して反映しました。市の管理する会場(保和苑)で開催されるあじさいまつりについては、担当職員が毎日現場に足を運んで確認し、その場でスマートフォンから更新しました。編集画面は出先からスマートフォンでも操作できますし、簡単に情報を更新できて、とても使いやすかったですね。 

 

利用促進についても、工夫した点をお聞かせください。  

QRコード付きのポスターを作成し、多くの場所に掲示しました。

水戸の梅まつりでは、我々が常駐する観梅本部の壁、施設周辺の公衆トイレの壁面及び個室、一部の料金所に、水戸のあじさいまつりでは、ポスターを作成してQRコードを付け、会場の多くの場所に掲示しました。

全員が通る本部のテント、会場内の喫茶店、駐車場の倉庫の壁、トイレの個室の中まで。

いずれもSNSや市のホームページで積極的に広報を行い、一週間前にキャラクターを公開しています。 

 

水戸のあじさいまつりの会場に掲示したQRコード付きポスター。SNSやホームページでのPRと並行して、より多くの来場者の目に留まるよう、貼れる場所は隈なく活用した。

 

開花状況の案内から、さらに広げられた点は。 

当初は基本的な問い合わせを中心に考えていました。あじさいの花について、もっと詳しく知りたいという声をいただいたため、地元の方にもご協力いただき、様々な品種の学名や育て方など、あじさいの植物としての魅力を深堀して登録しました。

夏の水戸黄門まつりでは、花火大会の会場である千波湖周辺の駐車場が大変混雑しますので、少し離れた中心市街地のコインパーキングを紹介するマップを作り、リンクをAIに表示させています。 

 

定型の問合せはAIへ、職員は企画と“おもてなし”へ 

 

現場や職員の皆さんに、どのような変化が。  

電話は一件あたりの時間こそ短いのですが、進めていた業務を中断して対応し、終わったらまた集中し直す必要があります。

正確な統計は取っていないので肌感覚ですが、ToyTalkの導入によって問合せが減った感覚はありましたね。定型的な問合せを補完してもらうことで、職員は情報の収集や更新、関係者との調整など、人が担うべき業務に集中しやすい環境につながっていくと感じています。 

 

直近のToyTalk活用は、2026年夏の「水戸黄門まつり」。まつりの特色に合わせてキャラクターのテイストを変え、新しい魅力を打ち出すことに成功。

 

最後に今後の展望をお聞かせください。 

人口減少社会においては、同じやり方のままでは、質の高い観光振興や住民サービスの維持は難しくなります。繰り返しの問い合わせや定型的なご案内はAIに担ってもらい、職員は企画立案や現地でのおもてなし、個別の事情に寄り添った対応といった、人にしかできない仕事に力を注ぐ。この役割分担が大事だと思います。

観光の面では、24時間、多言語でその場の疑問にすぐお答えできる環境を整え、また来たいと思っていただけるまちにしたいです。AIに寄せられた質問は、お客様が何を知りたいかを映す貴重なデータでもあります。

今後、さらに内容を充実させ、観光客の利便性。満足度の向上につなげていきたいと考えています。

 

(取材日:2026年8月19日)

 

スポットAI「ToyTalk(トイトーク)」とは

窓口やイベント会場、避難所など、特定の “スポット” での案内に特化した対話型AIサービス。

現地に掲示されたQRコードをスマートフォンで読み取るだけで利用でき、自治体の規則や案内資料を学習させることで、その場所に応じた回答を返す。

利用者のスマートフォンの言語設定に合わせた多言語対応や、オリジナルキャラクターの設定も可能。

祭事の事前案内や災害時の初動マニュアルなど、自治体での活用が広がっている。

水戸市のAIガイド

水戸市では、観光イベントに合わせたAIガイドを展開しています。キャラクターは、水戸の梅まつりナビ、水戸のあじさいまつりAIガイド、水戸黄門まつりAIガイドから体験できます。

 

株式会社ブリッジウェル

株式会社ブリッジウェル 共同代表 筒井訓章氏のインタビュー記事はこちら

 

水戸市 産業経済部 観光課

〒310-8610 茨城県水戸市中央1-4-1

TEL:029-232-9189

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