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スタンプを押して終わり”の観光はもったいない!
0.3秒で応答するスポットAI「ToyTalk」が、対話とストーリーで旅を彩る

インバウンド需要の回復とともに、観光地や自治体窓口における「人手不足」や「多言語対応」が喫緊の課題となっている。しかし、専用アプリの導入は観光客にとってハードルが高く、従来のチャットボットでは入力の手間や会話のタイムラグが障壁となり、利用が進まないケースも少なくない。

そんな中、「アプリ不要」「0.3秒の高速応答」「最短3分でキャラ作成」という手軽さと性能で注目を集めているのが、株式会社ブリッジウェルが提供するスポットAIの「ToyTalk(トイトーク)」だ。今回は、同社代表取締役の筒井訓章氏に、開発の経緯や、AIが自ら問いかけることで観光の質を変える「アクティブな対話体験」の重要性について話を伺った。

 

 

株式会社ブリッジウェル
共同代表 筒井 訓章

素材専門商社にて電子部品等の素材を扱った後、独立。蓄光顔料を活用したプロダクト開発で株式会社ブリッジウェルを創業。その後、公立保育園向けの「おむつサブスク」事業を立ち上げ、わずか3年で約70自治体に導入される実績を作る。現在はその自治体ネットワークと課題解決のノウハウを活かし、スポットAIプラットフォーム「ToyTalk」を展開している。

 

 

素材商社から「おむつ」、そして「スポットAI」へ。異色の経歴が生んだイノベーション

 

まずは貴社の事業概要と、異色の経歴から「ToyTalk」が生まれた経緯についてお聞かせください。

私はもともと、素材専門商社の出身です。その後独立し、株式会社ブリッジウェルを創業しました。

現在は保育園向けの「おむつのサブスク」事業や、農産物の産直卸事業、そしてコンサルティング事業などを行っています。「おむつのサブスク」では、わずか3年で70自治体以上に採用いただくなど、自治体様との連携を深めてきました。

 

そこからなぜ、スポットAI「ToyTalk」の開発に至ったのでしょうか?

きっかけは、おむつ事業で関わりのあった自治体の福祉課とのやり取りでした。メンタルヘルスケアの領域で、AIによるカウンセリングのようなことができないかという話が持ち上がったのです。

実は「ToyTalk」というサービス名は、「問い(Toi)かける」と「トーク(Talk)」を掛け合わせています。 カウンセリングにおいて、AIがただ答えるだけでなく、ユーザーに「問いかける」ことで対話を促す、いわば「聞き上手なAI」を目指したのが始まりです。このコンセプトが、現在の観光ガイドとしての活用にもつながりました。

特定の場所、あるいは特定の時に特化したスポットAIとの対話によって、一人ひとりの観光体験をより充実したものにできると考えています。

 

 

「0.3秒」の即答性が生む、違和感のない会話体験

 

「ToyTalk」と従来のチャットボット型AIとの違いはどこにあるのでしょうか?

最大の特徴は、パンフレットやマニュアルといった既存の資料をもとに回答する専用AIを、即座に生成できる点です。PDFやWordの内容を高速で処理する独自技術により、高い回答精度と0.3秒の高速応答を実現しています。

この技術によって、AIとハイレベルかつスムーズな会話が可能となっています。

また、単なる文字起こしではなく、文脈や雰囲気から意図を推測するAIモデルを採用しているため、例えば方言であってもスムーズに理解し、応答することが可能です。

実際に宮崎県の方言(宮崎弁)で話しかける実証実験でも、問題なく会話が成立しました。

 

導入のハードルについてはいかがでしょうか?

「誰でも最短3分でキャラクターを作れる」という点を重視しています。専門的なプログラミング知識は不要です。

「〇〇の下町観光ガイド」や「織田信長」といったキーワードを数単語入力するだけで、AIが自動で最適な振る舞い(プロンプト)を生成し、作り手がイメージするキャラクターに合った言葉づかいで話し始めます。

あとは、パンフレットなどのPDFやWordデータを読み込ませれば、その内容に基づいた正確な案内ができるようになります。

アプリのインストールも不要で、現地のQRコードを読み込むだけですぐに利用できるため、観光客にとっても利用ハードルが非常に低いのが特徴です。

 

キャラクター生成時の入力画面


性格や声質の特徴などを選択するだけでキャラクターを自動生成


バックストーリーや口癖の設定で、より親しみやすいキャラクターに


 

「ただ回るだけ」の観光からの脱却。AIが“村人”のように、土地の物語を語る

 

具体的な活用事例について教えてください。

埼玉県長瀞町の「長瀞紅葉まつり」では、AIが混雑状況を鑑みて穴場スポットを提案することで、観光客の回遊を促しました。また、岡山県の芸術イベントでは、「目の見えないアート鑑賞愛好家」というキャラクターを作成し、AIとの対話を通じて作品への理解を深めるという新しい体験を提供しました。

私たちがこうした「対話」や「理解」にこだわる背景には、私自身の原体験があります。以前、福井県でスタンプラリーに参加した時のことです。「一言(ひとこと)神社」という非常に興味深い名前の神社がスポットになっていたのですが、私はそこでスタンプをポンと押しただけで、その神社の由来も何も知らないまま、次の場所へ移動してしまいました。

 

スタンプを集めることが目的化してしまったわけですね。

そうなんです。後になって「すごくもったいないことをしたな」と痛感しました。せっかく現地に行ったのに、その場所のストーリーを知らずに通り過ぎてしまう。これは地域にとっても観光客にとっても損失です。

もしあの時、神社の入り口にAIキャラクター(NPC)がいて、「ここはね、一言だけ願いを叶えてくれる神社なんだよ」と話しかけてくれていたら、私の体験は全く違うものになり、その場所への愛着も深まっていたはずです。

「ToyTalk」が目指すのは、そうした「場所の物語の翻訳」であり、通過型の観光を体験型へと変えることなのです。

 

「長瀞紅葉まつり」の実証実験で活躍したキャラクターなど


 

受動的な観光客の「潜在ニーズ」を、AIからの“問いかけ”で掘り起こす

 

AIキャラクターがいることで、具体的にどのような変化が期待できるのでしょうか?

観光データによると、最初から「ここに行きたい」と詳細な目的を持っているのは全体の約20%~25%程度で、残りの約75%は、たとえば「伊勢神宮には行くけれど、その前後どこに行くかは決めていない」といった「ふんわりした層」だと言われています。

こうした方々に、自分から検索して調べるという能動的なアクションを期待するのはハードルが高い。だからこそ、AI側から「問いかける」仕組みが活きてくるのです。

 

ユーザーからの質問を待つだけではない、ということでしょうか。

おっしゃる通りです。ユーザーからの質問を待つだけでなく、AIから「おすすめの場所を紹介しましょうか?」「お腹は空いていませんか?」と能動的に問いかける。そうすることで、観光客自身も気づいていなかったニーズが引き出され、「じゃあ行ってみようか」という行動変容が生まれます。

ただ看板を立てて待つのではなく、AIがRPGゲームの村人のように話しかけることで、観光地としての体験価値が最大化されると考えています。そうすることで、観光客の皆さんの滞在時間が長くなる、地域への愛着が生まれてリピーター率の向上につながるなどの変化も期待できるのではないでしょうか。

 

 

インバウンド対応からデジタルデバイド解消まで。キャラクターが社会課題を解決

 

最後に、今後の展望と自治体職員の皆様へメッセージをお願いします。

「AI」や「DX」と聞くと、難しく考えたり、高額な予算が必要だと思われたりするかもしれませんが、「ToyTalk」はフリープラン(無料)から始めることが可能です。 57ヶ国語に対応しているため、インバウンド対応はもちろんのこと、それぞれの現場の課題に合わせたユニークな活用が進んでいます。

観光案内だけでなく、役所の窓口案内、ゴミの分別、防災啓発など、あらゆる場面で「ToyTalk」は「顧客体験(UX)の向上」に貢献します。予算や技術の壁を感じる前に、まずは「試しに使ってみる」という感覚で、地域の課題解決に役立てていただければ嬉しいです。

 

(取材日:2026年1月7日)

 

 

株式会社ブリッジウェル

東京都江東区高橋14-3 盛市ビル3F

代表取締役社長:石橋 真彦/共同代表:筒井 訓章

設立:2019年11月

事業内容:ToyTalk事業、コンサルティング事業、おむつサブスク事業、商社事業

https://toytalk.ai

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