「寄附を増やしたいが配送コストが重い」「名産品がなく返礼品競争で埋もれる」
──そんな自治体の悩みに応えるのが、株式会社ユニヴァ・ペイキャストの現地消費型ふるさと納税サービス「ココふる」だ。
スマホひとつで寄附から利用まで完結し、配送料・在庫管理は不要。初期費用・月額費用ゼロ、手数料わずか5%という明瞭な料金体系で、導入自治体は15団体に拡大している。さらに今、イベント展開やGCFへの挑戦、官民学の協働など、「現地消費型」の枠を超えた新たな地域貢献のかたちを打ち出し始めている。
株式会社ユニヴァ・ペイキャスト ペイメントビジネス本部
マーケットデベロップメント部 矢野 泰希

IT 業界での経験を経て、株式会社ユニヴァ・ペイキャストに入社。同社のペイメントビジネス本部にて営業を担当するかたわら、現地消費型ふるさと納税サービス「ココふる」の事業推進にも携わる。決済事業で培った知見を活かし、全国の自治体や事業者とともに、ふるさと納税を通じた地域貢献の新しいかたちを模索している。
決済のプロだからこそ見えた「ふるさと納税」の現実
ココふるの事業に携わるようになった経緯を教えてください。
私はもともと決済代行事業の営業を担当しており、ふるさと納税には一般消費者の立場でしか触れてきませんでした。弊社は決済代行を主軸とする会社で、私がメインの決済代行業務と並行する形でココふるの事業に携わるようになったのが昨年のことです。
実際にふるさと納税の事業に入ってみると、国の制度、自治体の思惑、その下にいる事業者さんの立場と、関わるステークホルダーが非常に多く、正直なところ大変だなというのが率直な感想でした。
自治体と接する中で、民間企業との違いを感じる場面はありますか。
大きく違いますね。民間企業であれば「売上を伸ばす」という発想が当然ですが、自治体の方々の目線はそこではない。寄附額を増やすこと自体が目的ではなく、その先にある「地域をよくしたい」という思いが根本にあるのです。
社内でも「売上」という言葉を使うと社長に注意されるほどで(笑)、「寄附」という言葉のニュアンスの重みをこの一年で実感しました。決済事業ではなかなか得られない、地域創生や地域貢献を実感できるのは、ココふるの事業ならではのやりがいですね。
制度改正の追い風─「手元に残る寄附」への注目
現地消費型ふるさと納税の最近の動向について、どのように感じていますか。
大きな変化として、ふるさと納税の制度改正により、自治体に残さなければならない割合が5割から6割に引き上げられるという動きがあります。これは、返礼品の原価以外のコスト─つまり配送料や手数料といった部分のカットが、今以上にシビアに求められるようになることを意味します。
ココふるは初期費用・月額費用がゼロで、実質かかるのは決済手数料を含む5 %のサービス手数料のみです。「決済手数料を含む」という点は非常に重要で、弊社の母体が決済代行事業だからこそ実現できる料金体系です。さらに、現地消費型はそもそも配送料がかかりません。
制度改正によって「いかに手元に残る寄附金を増やすか」が一層重要になる中で、現地消費型への注目はさらに高まっていくと考えています。
現地消費型は、ふるさと納税本来の趣旨にも合致していますね。
おっしゃる通りです。返礼品の地場産品規制やポイント廃止など、国の方向性は一貫して「ふるさと納税の本来の意味─ 地域貢献」に立ち返ろうとしています。
ポータルサイトでの商品購入はどうしてもショッピング的な要素が拭えませんが、現地消費型は実際にその地域を訪れ、体験し、応援するという、ふるさと納税の原点に近いかたちです。
国の方針に寄り添えるサービスを展開していきたいと考えています。
イベントでの活用も増えているそうですね。
ココふるはスマートフォンだけで完結し、特別な端末が不要なので、さまざまなイベントで活用いただいています。
たとえば北海道富良野市では、都内で開催された「富良野ファン創出交流会」で地元ワインの返礼品を提供し、用意した8本がその場で品切れしました。
「現地消費型」といっても、必ずしもその自治体の中だけで使う必要はない。都市部で地域の魅力を発信する場でも活用できるという、新しい可能性を実感しています。
GCFへの挑戦─寄附額だけでなく、地域のブランディングへ
ガバメントクラウドファンディング(GCF)への取り組みについて教えてください。
現在、特定の自治体と具体的にGCFの実施に向けて話を進めているところです。テーマとしては学校への寄附を想定しており、その自治体を起点に寄附を募る仕組みを構想しています。
背景として、その自治体では過去に大手プラットフォームを使ってGCFを実施した経験があるのですが、プラットフォームの手数料がかなり高く、実際に寄附金として手元に残る金額が少なくなってしまったという課題がありました。
ココふるの手数料の安さを活かせば、より多くの寄附金を目的に充てることができます。
「名産品がない」からこそ、一緒に考える
最後に、導入を検討している自治体へのメッセージをお願いします。
自治体の方々からよくいただく声が、「うちには目立った返礼品がない」「名産品がない」というものです。
多くの自治体が、返礼品の開発に悩みを抱えています。しかし、私たちは「ないものを一緒に作る」ところからお手伝いしたいと考えています。むしろ、「困っている」というところからスタートしていただくのが一番です。外側の視点だからこそ見える地域の魅力は必ずあります。体験型やイベント型など、返礼品の形は無限にある。
ココふるの仕組みを使って、いろんなアイデアを自治体の皆さんと一緒に詰めていきたい。それが地域に還元されることが、私たちの理想です。
(取材日:2026年3月11日)
共感をその場で応援に変える「ココふる」の力
株式会社GAROO 荒木 美千代さん
私たちは、全社員が地域に居住し、自治体や事業者と伴走する地方創生コンサルティングを行っています。富良野市での産学連携プロジェクトでは、北海学園大学の学生たちと現地決済型ふるさと納税の可能性を検証しました。その結果、「モノの返礼品には限界があるが、観光地としての『コト消費』を伸ばすにはココふるが非常に相性が良い」という的確な提案が生まれました。
ココふるの真価は、事業者とお客様の間に直接のコミュニケーションが生まれる点です。都内で開催した富良野市のファン交流会でもワイン販売に活用しました。(詳細は本文)
ネットでは伝わらない生産者の苦労やストーリーを対面で直接伝えることで、地域への愛着が育まれます。その共感の熱量のまま、その場で「寄附」として直接応援していただけるのが最大のメリットです。地元事業者も手応えを感じており、ココふるは産官学連携で地域のファンを増やす強力なパートナーだと実感しています。






