一般社団法人 自治体DX推進協議会

My City Report(MCR)が拓く、市民協働のまちづくり
平時からの活用と災害時の連係で、安全で住みよい街を目指して

自治体の市民協働プラットフォーム「My City Report for citizens(以下MCR)」が注目を集めている。市民が、スマートフォンアプリを通じて地域の課題や災害時の被害情報を自治体に報告する投稿ツールで、平時の地域課題解決だけでなく、防災・減災にも役立つツールとして期待されている。自治体のDXを推進し、市民参加型の安全で住みやすいまちづくりを実現する効果的な取組について、MCRコンソーシアム事務局に話を聞いた。

 

 

 

「市民協働」を実現するプラットフォーム「My City Report for citizens」

 

―MCRの概要について教えてください

市民がスマートフォンアプリを使って、日常生活の中で気づいた地域の課題を報告し、自治体と共有するプラットフォームです。例えば、道路の損傷や公園の遊具の不具合など、写真と位置情報付きで投稿することができます。自治体は寄せられた情報を基に、合理的・効率的な解決を図ることができます。
MCRは、単なる問題報告の場ではなく、自治体と市民が協働で地域課題を解決することを目指しています。自治体が設定したテーマに関する投稿を求めたり、市民から寄せられた情報を基に町内会やNPOと連係して課題解決に取り組んだりと、様々な形で市民協働を促進することもできます。

 

My City Report 画面イメージ

 

 

―MCRの導入状況を教えてください

年々関心が高まっており、現在、全国30以上の自治体がMCRコンソーシアムの会員となり、ご利用いただいています。規模の大小を問わず、様々な自治体でMCRが活用されています。
MCRの導入により、「市民の地域への関心と参加意識が高まり、自治体と市民の距離が縮まった」という声を多くの自治体からいただいています。市民の声を直接反映できる新しい行政サービスの形として、各地で成果を上げつつあります。

 

 

防災分野でも活躍。
自治体のDXを多角的に支援

 

―MCRは防災分野でも活用されているそうですね

そうですね、平時の地域課題解決だけでなく、災害時の情報収集ツールとしても威力を発揮します。災害発生時、被害状況をいち早く把握することが、迅速な災害対応に繋がります。MCRを活用することで、リアルタイムな被害情報を収集し、的確な意思決定や救援活動に役立てることができるのです。
さらに、MCRで集めた情報を自治体の防災情報システムやGIS(地理情報システム)に連係させることで、被害状況を地図上に可視化し、対策本部の迅速な意思決定を支援することも可能です。
まさに、平時と災害時のシームレスな活用を通じて、自治体のDXを多角的にサポートするツールとして進化を続けています。

 

―今後の展望について

MCRコンソーシアムの目標は、地域課題に関する市民の声を積極的に拾い、市民参加を促すMCRを普及促進し、全国の自治体と共に、市民協働のまちづくりを推進することです。そのためにも、MCRのさらなる普及と機能強化に力を注いでいます。
具体的には、自治体間の情報共有や相互支援を促進するための取り組みに力を入れていくとともに、コンソーシアム会員自治体の要望等を取り入れた機能強化を逐次行うなど、利便性と効果をさらに高めるための開発を進めています。将来的には、MCRが全国の自治体とそこに暮らす市民を繋ぐ共通のプラットフォームとなることを目指しています。

 

―MCRから見た、これからの地域社会づくりとは

少子高齢化や災害の激甚化など、自治体を取り巻く課題が複雑化する中、行政だけでなく民間、そして地域で暮らす市民の知恵と力を結集することが不可欠です。MCRは、デジタル技術を活用しながら、市民一人ひとりが地域の課題解決に主体的に関わり、自治体との対話と協働を重ねていくための プラットフォームとなることを目指します。

(取材日:2024年5月2日)

 

MCRコンソーシアム事務局への資料請求・お問合せはこちら

 

 

MCRコンソーシアム事務局

https://www.mycityreport.jp/

 

総合防災情報システムと連係~千葉市の取組

千葉市では、2023年の新庁舎竣工に合わせ、総合防災情報システムを導入し、MCRと双方向のデータ連係を実現しました。
このことにより、台風などの発災時には、総合防災情報システムに、消防活動や道路パトロールで収集した被害情報などが集約し、地図上に表示することなどで、的確・迅速な災害対応を行うとともに、災害対応終了後に、MCR側にデータを移すことで、応急時以降の対応に円滑に引き継ぐことが可能となりました。

 

 

また、MCRのレポート機能を使うことで、災害対応時には気付かなかった被害などを、市民の皆さまから投稿してもらい、総合防災情報システム上で他の被害情報と重ね合わせるなどの運用も考えられます。

今後は、双方のシステムを有効に活用し、災害時に市民のみなさんの安全・安心を確保できるよう努めていきたいと考えています。

 


 

千葉市総務局危機管理部 防災対策課 課長 田中 剛志様

千葉市総務局危機管理部
防災対策課 課長 田中 剛志 プロフィール
  • 阪神・淡路大震災後の平成8年に千葉市役所入庁。
  • 防災対策課へ配属。
  • 若葉福祉事務所や広報課などでの勤務を経て、令和2年から現職。
  • 防災・危機管理部門には通算14年携わり、本年は能登半島地震の被災地支援にも従事

関連記事

カテゴリ一覧

アーカイブ

その他の自治体DXガイド

受身のDXからの脱却。生成系AIで実現する自治体主導の自治体DX(サニタイザーAIゲートウェイ)

受身のDXからの脱却。生成系AIで実現する自治体主導の自治体DX(サニタイザーAIゲートウェイ)

「生成AI開国の地」横須賀市、ChatGPTで業務効率化を推進

「生成AI開国の地」横須賀市、ChatGPTで業務効率化を推進

自治体の防災力を支える気象災害リスク可視化システム<br>HalexForesight!

自治体の防災力を支える気象災害リスク可視化システム
HalexForesight!

「らくらくシェルターテント」が実現する<br>避難所の新たな可能性

「らくらくシェルターテント」が実現する
避難所の新たな可能性

自治体DXガイドの一覧はこちら

無料相談・お問い合わせ

地方自治体と事業者の架け橋となり、デジタルトランスフォーメーションを通じて地方創生を加速するパートナーシップの場を提供します。お気軽にお問合せください。

無料相談・お問い合わせ

TOP

一般社団法人 自治体DX推進協議会